2026年度第1回目となる定例会は、高田馬場の「馬場サウナ」の会議スペースでのリアルと、講師を含むオンラインのハイブリッド開催にて、銭湯経営代行業のニコニコ温泉株式会社のマネージャーで、長野県塩尻市の老舗銭湯「桑の湯」の再生を手掛けられた羽鳥心之介さんをお迎えし、銭湯の第三者承継のリアルや経営改善の事例についてご講演いただきました。
第1部:講演~銭湯の第三者承継と再生戦略~
経営者の高齢化やコスト高で厳しい環境に置かれる街の銭湯を、いかに承継し再生させ、地域の社交場として元気にしていくか。現場の具体的な数値と実践事例を交えたお話に、参加者一同、多くの学びを得る貴重な機会となりました。
中心事例として紹介されたのは、長野県塩尻市の銭湯「桑の湯」です。人口6万人・一次商圏9,000人弱という厳しい立地で、温泉が出ない地域唯一の銭湯として95年の歴史を持つ同店を第三者承継されました。市による公募コンペ形式での選定、地元メディアでの露出を経て、契約締結からわずか2ヶ月でオープンにこぎつけたスピード感ある進め方が印象的でした。
差別化戦略では、「いきなりNo.1になれる領域」かつ「他店が真似したがらないこと」の2点を要件とし、負担の大きさゆえ追随されにくいオールナイト営業を実践。ロビー設計の「長所進展」「圧縮付加」の発想―銭湯の強みを”狭さがもたらす距離の近さ”と捉えて伸ばし(長所進展)、滞在価値を生まない脱衣場は思い切って圧縮し、生まれたスペースに漫画や休憩エリアといった付加価値を集中投下する(圧縮付加)―は、限られた資源を活かす好例として示唆に富むものでした。
コスト面では、井戸水への切替えによる水道代削減、地域の廃材を燃料とする薪ボイラー導入、サーモグラフィーによる隠れ漏水の発見など、収益を直接押し上げる施策を紹介。さらにサブスク販売スペース「風呂中商店街」やゲームアプリとのコラボ、1人用サウナの設置など、銭湯の枠を超えた新たな収益源の創出にも積極的に挑戦されている点が、参加者の関心を集めました。
承継・再生という難題に対し、行政との連携・徹底した差別化・資源の集中投資・コスト構造の見直しを組み合わせて取り組む姿勢は、中小企業の経営支援に携わる我々にとっても大いに学びとなりました。
第2部:サウナ体験会と懇親会
講演後には定例会恒例となっている現地参加メンバー全員でのサウナ体験会を行いました。ちょうどアウフグースイベントの開催時間と重なり、馬場サウナの熱波を浴びた参加者の魂の叫びがサウナ室内に轟き、アウフギーサーの方からお褒めの言葉をいただくメンバーもいました。
そのあとの懇親会では自己紹介時に銭湯派とサウナ派のどちらかと、各々の好きな施設を発表しあい、それぞれの良さを再認識しあいました(銭湯派とサウナ派の票数は半々でした)。
本研究会は、銭湯・サウナの文化と経営改善を通じて施設・業者を元気にし、地域を活性化することを目指しています。今回得た知見を、今後の事業者支援に活かしてまいります。

