9月4日に東京ビックサイトで行われたギフトショーのサウナフェアに行ってきました。目当ては「20~30代の人気施設の経営者が語る、サウナで起業して事業成長させる秘訣を初公開」とされるセミナーです。
写真撮影可でしたので、当日の様子もアップしながら印象に残った部分を簡単に報告します。
【龍城サウナ】
最初に登壇したのは、龍城サウナの増田さんでした。古民家の銭湯を改装して男性専用サウナとして生まれ変わらせました。地域活性化、事業承継などの地域課題解決を実践されており、素晴らしいの一言です。

マーケテイングでは、愛知県のサウナ人口からターゲットとなる市内のサウナ人口を推測し、競合調査等を行っていました。サウナ人口算出のベースとなるデータは、公開されているサウナ総研等を利用して分析を行ったとのことでした。サウナ人口は男性が多いこともあり、男性専用サウナとしたことも差別化要因になったのかもしれません。

龍城サウナでは、SNSを積極的に利用しており、Youtube、Instagram、Tiktokなどを利用して認知度向上を図っていました。他の経営者の方もそうですが、やはり若い経営者の方々はSNSを上手に利用されているという印象です。
サウナ経営は、実際に経営を始めてみないと見えない経費の部分の多く、光熱費や人件費などどれくらいを想定すればよいのか、机上の計算だけでは不透明な部分が多いです。増田さんは、すでにサウナを開業していた隣の席の中島さんに直接相談し、事業計画を立てたようでした。
話の中で特に印象的だったのが、物販が強いということでした。事業の柱ともいえるレベルの売り上げとなっており、正直驚きました。これも、SNSでのブランド力向上といった点が物販の強さに影響していると思われました。男性専用サウナなのに、物販に女性が買いに来るというのは凄いです。

KIWAMIサウナ
名古屋のKIWAMIサウナを経営されている中島さんは、元銀行員という経歴から主に資金調達の話が中心でした。サウナを開業するためには数千万単位での事業資金が必要となるため、銀行融資だけでは賄えないことも多いです。
KIWAMIサウナでは、クラウドファンディングを利用して1000万の資金調達を行うとともに、令和の虎への出演や銀行融資を利用して開業資金を準備したそうです。クラウドファンディングで資金を集めるためのポイント等もお話していただき、大変参考になりました。

サウナ経営で大事なポイントを3点紹介されていました。1つめは、「清潔感」。日本一清潔なサウナを目指して清掃オペレーションを組んでいるとのことです。男性の従業員だけではなく、清掃専用のために女性にもお願いしているといい、女性目線での清掃が重要とお話されていました。

2つめは「安心できる空間」です。古民家を改装したサウナ施設のため、写真を見ているだけでも良い雰囲気が伝わってきました。おばあちゃん家のような安心できる空間なのかな、と思い訪れてみたくなりました。

3つめは、「コミュニケーション」です。経営者自身がフィンランドサウナが好きなようで、特にサウナで自然に生まれるコミュニケーションを重視していました。コロナの影響もあって黙浴のサウナが多いですが、どのようなコンセプトのサウナにするかは経営者によって判断が分かれるところです。
特定の曜日には、ビールやソーセージ等を半額にしてみんなで乾杯し、積極的にコミュニケーションが生まれる場を提供しています。

株式会社HINODE
株式会社HINODEの山本さんは、実際に東京の青梅でJIKON SAUNAとしてサウナ事業を行うほか、メディア事業、広告代理、マーケテイング支援を行っています。インスタグラムのサウナコレクションは、フォロワー数12万人超えの最大のサウナメディアとなっています。フォロワーは、20~30代の若い方が中心で、男女比は8:2となっているようです。

青梅にあるJIKON SAUNAは、地元の方々に愛される地域密着型のサウナ施設であり、サウナ内でのケータリングは地元の飲食店を使う、建材等についても地元のものを利用する、といった地域活性化にとても尽力されていると感じました。
開業前から、積極的に地域に溶け込むように努力し、開業時には市長、国会議員など多くの地元の方が来ていただいたとのことでした。地域からしても、古民家を改装したサウナ施設がランドマークとなって多くの若い方が訪れることで地域活性化に繋がるため、双方にとって良い関係性を築けていると感じました。
メディア戦略は、SNSだけでなく地域の新聞等にも積極的に掲載してもらうなどオールドメディアについてもカバーしており、SNSを利用しない地域の方に向けた発信も行っていました。

マーケテイング支援や広告代理事業では、自社のもつ有力なメディアの拡散力を利用してイベント案内を行うことで、さまざまなサウナイベントを支援しているようです。
統括
若い経営者の皆様は、サウナへの思いがとても強く、各経営者が「自分のサウナが一番」と思っているなという感じがしました。経営が苦しいときも、サウナへの思いが強いため心が折れることなく経営を続けていけた、とも話されていました。
KIWAMIサウナの中島さんは、2店舗目を近々にオープン予定とのことで、いろいろと積極的に展開されていて業界の活性化に非常に尽力されていると思いました。
当研究会においても、サウナ経営の事例を数多く研究し、各会員のスキルアップ及び日本の銭湯・サウナの活性化の一助となるように努めたいと強く感じました。