銭湯・サウナを愛する中小企業診断士を中心に構成された研究会

第4回定例会 in 日暮里斉藤湯

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2025年11月9日、銭湯サウナ研究会は第4回定例会として、東京都荒川区の日暮里斉藤湯にてイベント開催しました。創業90年を超える老舗でありながら、現代のニーズに合わせた革新的な経営を実践されている取り組みを、座学、実践、そして設備見学を通じて深く学びました。(参加者は総勢16名)

第一部 座学編(齊藤裕一先生のご説明)

日暮里斉藤湯4代目、齊藤裕一先生から、リニューアルに至るまでの環境分析から現在に至るまでの高付加価値戦略についてご講演いただきましたので、要約してご紹介させて頂きます。

ー客数上げるための認知度アップ活動

日暮里駅から徒歩3分という好立地にある日暮里斉藤湯。昔ながらの情緒を残しつつ、時代に合わせた工夫が光ります。かつては「日本最後の三助」としてテレビや雑誌で話題となり、今ではSNSやホームページを活用して全国から注目を集めています。近隣ホテルとの連携や「銭湯ラン」など、新しい楽しみ方も提案。伝統と革新を両立する、まさに“進化する銭湯”です。

ー客数上げるための顧客開発活動(中でも女性客が増えている成功例)

女性客を意識した運営を展開し、来客数が倍増。毎日頑張る女性に癒しを届ける「THE SPECIAL LADY’s DAY」は薔薇風呂やキャンドル演出が好評で、来場者は目標を大きく超えています。

ー客単価を上げるための活動

入浴料が制限される中、客単価アップに挑戦。「美味い樽生ビール」や旬の果実を搾る「カジュッタ」、貸タオルなど手ぶら利用の工夫で満足度と快適さを追求しています。

ー来客頻度(リピート)を上げるための活動

「客数×単価」に加えリピート率を重視。ポイントカードで来店を促し、社長自ら収穫したゆずを使った冬至ゆず湯など、自然素材の変わり湯で心も体も温めています。

ー基本の徹底「清掃と挨拶」の徹底。ここが日暮里斉藤湯の原点

日暮里斉藤湯様は「清潔と挨拶」を徹底。心のこもった接客で顧客満足を追求し、給料明細で口コミを共有するなど従業員の意識向上にも取り組んでいます。

ーサウナを採用せず超付加価値サービスの徹底で120人/日から250人/日へ

日暮里斉藤湯様は、2015年の総投資4億円による全館リニューアルで、あえてサウナを採用しないという大胆な決断をしました。その理由は「銭湯そのもの(スペース確保)の良さを追求する」ため。地下水を専用機械で調整した超軟水を全浴槽に使用し、22℃の水風呂から43℃の熱湯まで5段階の温度で多様な湯を提供しています。結果、心地よさを追求したこの高付加価値戦略が功を奏し、来客数は1日120人から250人へと倍増しました。

上記の様々な活動により、日暮里斉藤湯様は「東京都の銭湯名店ランキング」で堂々の1位(2022年6月版)。Googleクチコミでも4.4点超と高評価を獲得し、多くの人に愛される癒しの銭湯として支持を集めています。

第二部 実践編(入浴しながらパネルディスカッション)

第二部の実践編では、前代未聞の入浴しながらパネルディスカッションです。日暮里斉藤湯さんの素敵なお湯に浸かりながら、三代目と四代目による親子パネルディスカッションを拝聴しました。 こだわりの温度差のある湯船や心地よい水風呂に身を委ねつつ、経営や事業承継への想いが語られる貴重な時間でした。

質疑応答では「事業承継で親子喧嘩はなかったですか?」「外国人利用者のマナーは?」「タトゥーの基準は?」といった現場のリアルが伝わる質問が飛び交い、参加者の関心の深さが感じられました。銭湯という地域の憩いの場を守りながら、世代を超えて挑戦を続ける姿勢に強く心を打たれました。湯に浸かりながら学ぶという体験は、まさに“銭湯文化の本質”を感じる時間でした。

第三部 機械室(ボイラールーム)見学編

機械室(ボイラールーム)の見学では、普段見ることのできない銭湯の裏側を体感しました。特に印象に残ったのは、こだわりの「軟水装置」「廃湯温水器システム」です。軟水装置は水道水のカルシウムやマグネシウムを除去し、肌にやさしく泡立ちの良い“やわらかい湯”(超軟水)を生み出す装置。これは、お客様の快適さと設備の長寿命化を支えています。一方、廃湯温水器は浴槽から排水されるお湯の熱を回収し、新しい給水を温める省エネ機構です。環境負荷を減らしながらガス代を抑える、エコと経営合理化を両立する仕組みです。 見えない部分にこそ、日暮里斉藤湯さんの技術と想いが息づいていました。

第四部 懇親会

懇親会では齊藤先生にもご参加いただき、和やかな雰囲気の中にも銭湯愛あふれる時間となりました。参加者の皆さんはお湯につかった後も話題が尽きず、次第に銭湯談義はさらに熱を帯びていきます。設備や経営の裏話だけでなく、「傘立ての鍵の対応」まで話は発展します。日暮里斉藤湯さんでは鍵が無くなるとすぐに補充するとのことです。当たり前のことですがなかなかできません。ここでも日暮里斉藤湯さんのこだわりを垣間見ることができます。 参加者の多くが「やっぱり銭湯は人の温かさで成り立っている」と実感した様子で、湯上がりの笑顔と共に、銭湯文化の奥深さを改めて感じる懇親のひとときとなりました。

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